日本政策投資銀行は、地域伝統ものづくり産業の活性化調査<概要版>を公表しています。
https://www.dbj.jp/topics/region/industry/files/0000030626_file2.pdf
さまざまなデータや分析などがあって非常に参考になります。
こちらのレポートを元に、伝統工芸の現状をひも解いていきたいと思います。
日本の伝統工芸を取り巻く環境について
日本の伝統工芸は市場規模を縮小し続けています。グラフは生産額と従業員数を表したものです。
年代 金額 人数
1983年 5410億円 24万2000人
2000年 2650億円 9万7000人
2015年 1020億円 6万5000人
現在の生産額は、最盛期のおよそ1/5の水準となっています。
ここ数十年でわたしたちの買い物動向は大きく変わりました。
時代の変化に対応するために、企業はさまざまな顧客ニーズに答え続けてきました。
ユニクロや無印良品など、世界で展開する巨大ブランドも誕生しました。
これらの商品は、以下のようなことに強みがあります。
ポイント
・一定の品質を保っている
・安価で使いやすい
他よりも早い機動力と的確な顧客ニーズのすくい上げによって、大きく成長しました。
伝統工芸はこの動きに対応できず、遅れを取ってしまったのです。
伝統ものづくり産業を取り巻く趨勢について
伝統ものづくりの抱える問題として、以下のようなことを挙げています。
ポイント
・現在の産地分業体制モデルは、戦後の消費拡大に対応して発達した。
・消費・商業環境の変化に対応できていない
結論
伝統という名前のもとに、マーケットの変化に対応できていない。
参考:日本政策投資銀行
https://www.dbj.jp/topics/region/industry/files/0000030626_file2.pdf
伝統ものづくり産業を牽引するプレイヤーについて
伝統工芸を取り巻く環境は非常に厳しいですが、積極的な事業展開により、成功を収めている企業もあります。
レポートでは10の企業を取り上げて、事業の分析をしています。
それぞれの企業の紹介は、以下に詳しく記載されています。
https://www.dbj.jp/topics/region/industry/files/0000030626_file2.pdf
各社のHPは以下となります。
㈱能作
㈲山口工芸(hacoaブランドサイト)
飛騨産業株式会社
株式会社玉川堂
及源鋳造株式会社
アルテマイスター株式会社保志
http://www.alte-meister.co.jp/
株式会社中川政七商店
https://www.nakagawa-masashichi.jp/shop/default.aspx
有限会社マルヒロ
金子眼鏡株式会社
http://www.kaneko-optical.co.jp/sp.html
株式会社 細尾
伝統ものづくり産業の強みとは何か?
伝統ものづくりとは何か?を考えたときに、4つに絞られてきます。
伝統ものづくりは、歴史や伝統、脈々と伝えられている独自の技法や、職人の魅力などをアピールして競争に勝っていく必要があります。
現在のところ、これらがうまく機能しているとは言い難い状況です。
先に挙げた10社のような、勢いのある会社があることも確かですが、全般的には浮上の糸口が見えずに、停滞しているのが実情です。
ここから生き残っていくためには、自身の強みを見つけて、徹底的に磨き上げていかなければなりません。
デザイナーとのコラボや、有名バイヤーとのコラボなど、さまざまな取り組みを行っていますが、まだ十分に認知されているとは言えない状況です。
歴史があるという意味においては、大きなアドバンテージになっているので、ここからどのような戦略を立てていくのかが、非常に大切です。
参考:日本政策投資銀行
https://www.dbj.jp/topics/region/industry/files/0000030626_file2.pdf
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